研究概要 |
本研究では,静的随意筋力発揮時に電気力学的遅延(Electromechanical Delay: EMD)を計測するとともに,超音波の生データ(Radio Frequency: RFエコーデータ)の解析によって筋線維の収縮開始時のタイミングを定量化する.そしてこの方法を用いて,受動的関節可動域(受動的ROM)の向上と,筋線維の収縮開始のタイミングからみた筋・腱組織の粘弾性要素の変化との関係について明らかにすることを目的としている. 本年度は,RFデータ解析の方法論の確立と,実験システムの構築を行った.被検筋は腓腹筋内側頭とし,膝関節角度は完全伸展位,足関節角度は90deg(解剖学的正位)にて随意最大筋力を測定後,2-3秒間の80%MVCの静的足底屈をできるだけ素早い力発揮によって行った.足底屈筋力は,フットプレートに埋め込まれた踏力計によって測定し,腓腹筋内側頭の表面筋電図(EMG)と共に,PCに取り込んだ.同時に超音波装置によって腓腹筋内側頭の超音波画像を取得し,RFエコーデータを筋力・EMGと同期させてPCに取りこんだ.予備実験より,超音波画像のデータ収集条件および画像解析に関しての問題点・課題点が明らかになり,特に超音波データの時間分解能の向上を目指した.平成22年度にはこのシステムを用いて,筋線維の収縮開始時のタイミングと,それに影響を与えると考えられる要因について検討していく予定である.
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