研究概要 |
平成22年度は,身体活動実施に関わる他者からの働きかけについて,インタビュー調査に基づいた測定尺度の作成をおこなった.作成された測定尺度の信頼性や妥当性を検討するため高齢者交流施設の来館者829名を対象に調査を実施した.調査期間は平成22年9月から11月であった.有効回収数は451部であった.測定尺度の信頼性は、測定項目の内的整合性を表わす係数であるα係数を算出することで検討した.妥当性は因子的妥当性および基準関連妥当性の観点から検討した.因子的妥当性は,当該尺度について仮定された因子構造が実際に測定されたデータと,どの程度適合するかによって評価される.基準関連妥当性は,問題としている行動特性と関連のある外部変数あるいは基準測度と実際に測定された尺度の得点とを比較することによって評価される。本研究では,運動・スポーツ行動と強い関連を有する「運動実施に対する自己効力感」尺度を基準測度とし,合計得点で相関係数を算出した.分析の結果,高齢者の身体活動実施に対するフォーマル関係およびインフォーマル関係からの促進的および阻害的働きかけを測定する尺度の信頼性と妥当性について統計学的な基準を満たす結果を得ることができた.しかし,調査対象が身体活動の実施において活発であるという特性を考慮すると,結果の一般化には慎重であるべきである.そこで当初の研究計画通り,無作為抽出されたサンプルを対象に同様の分析をおこなう調査を実施する計画を実行に移し,作業が次年度に繰り越した.
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