研究概要 |
【本研究の目的と平成21年度の課題】 本研究は、パーソナルテンポに基づいた聴覚刺激を聴取しながら行う調息法(以下、パーソナル調息法とする)のメンタルマネジメント効果を明らかにすることを意図したものである。この研究目的を達成するために、本年度は以下の2つの研究課題を遂行した。 1)調息法の効果を高める「パーソナルテンポ」を明らかにする。特に行動課題に効果的なパーソナルテンポを明らかにする。 2)上記の効果的なパーソナル調息法が中枢神経に与える影響を明らかにする。 【本研究の意義と重要性】 調息法はメンタルマネジメントのメソッドとしては一般的に使われているが、本研究で開発、効果検証を行うパーソナル調息法のようなパーソナルテンポを組み合わせたものは見当たらない。パーソナル調息法のような環境からの感覚刺激付与は、意識の拡散を防ぎ、より呼吸への注意を高めると考えられる。 【平成21年度の研究成果】 <研究1> 実験協力者:高校生6名,大学生3名の合計9名(男子7名,女子2名) 課題:事前にPTを付与した(メトロノームによる聴覚刺激と指先タッピングによる行動刺激によりPTを付与)調息法を行い,その後鏡像描写課題を行ってもらった. 結果:統計的有意差は認められなかったが,指先タッピングを行いながら調息法を行った条件で鏡像描写課題の成績が良い傾向を示した. <研究2> 実験協力者:大学生4名(男性1名,女性3名) 課題:コントロール条件,呼吸法のみ条件,「聴覚刺激PT+調息法」条件,「指先タッピングPT+調息法」条件を3分間行った後,脳波を測定した. 結果:指先タッピングをしながら調息法を行った条件において,α2波(10Hz~13Hz)の平均振幅値が有意に高く変化したことが明らかになった.一方,メトロノームによる聴覚刺激を聞きながら調息法をした条件では,コントロール条件と同様にα2波の平均振幅値が低下した.
|