本年度は、至上課題である「マネジャーによる影響力の違いと、総合型クラブ間差異(クラブ特性の違い)の関連性」を解明する前段階作業として、従属変数となる総合型クラブを類型化することを研究課題に設定した。従って、本年度に計画、達成された具体的課題は2点であり、第1に仮説的構成概念とされる「総合型クラブ特性」の定立、第2にそれを主内容とした質問紙調査法による、総合型クラブの実態把握・類型化作業であった。まず「総合型クラブ特性」の定立については、文献的演繹法により総合型クラブに関する規範言説を収集し、KJ法により整理した結果、「自律性」「連帯性」「理念」「事業性」「自主資源」「ネットワーキング」「日常生活圏」の7次元を導出した。次に総合型クラブの類型化作業は、46都道府県1307クラブ(回答対象者を運営責任者に該当する者に限定)に-斉配布した後の有効回収数(率)となった597クラブ(45.7%)を分析対象として実施した。調査内容は、基本的概要、総合型クラブ特性判断、運営参加状況などである。主な分析結果の要約は、(1):「総合型クラブ特性」7次元について、5件法で求めた回答に対し主成分分析を施した結果、その仮説的構成概念の信頼性・妥当性が確認されたこと、(2):検証された7次元の側面バランスについて、主成分得点を用いてword法によるクラスター分析を施した結果、総合型クラブが5群に類型化されたこと(「積極型クラブ群」「充足型クラブ群」「基本型クラブ群」「脱・地域型クラブ群」「消極型クラブ群」と命名)、(3):5つの総合型クラブ群問の経営条件との関連性について検定した結果、特に運営参加状況との関連性について有意な相関が認められたこと、であった。次年度は、5群間の差異を産み出した因果関係について、運営委員会の実情(特にフォロワーのエンパワーメント性とマネジャーの勢力指数)に注視した調査が臨まれる。
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