研究課題
本年度は、当初の計画を変更し、CM(以下CM)の「専門職性」について文献研究を実施した。当初の計画では、類型化された総合型クラブの差異要因について、運営委員会の実情(特にCMの社会的勢力指数)を注視した調査を予定していた(質問紙調査)。しかしながら、CMの社会的勢力について考慮する際、その前提として、CMの機能的側面と、CMの構造的側面を整理する必要性が考えられた。したがって、機能的・構造的両面を俯瞰できるとする「専門職性」という視点からCM論を検討し、彼(女)ら自身の存在意義を問いながら、併せて、社会的布置を図る重要性を指摘することとした。具体的には、CMの専門職性を「社会的認知へ向けたCMとしての必要要件」と定義し、以下の目的を遂行した。(1)専門職としてのCM制度についての論議を整理する、(2)社会福祉専門職における先行研究に拠り、CMの専門職性について検討する、(3)CMに沿う新たな専門職性の観点を提起し、今後の研究課題を定める、の3点であった。(1)については、これまで、CMの専門職としての機能(センター機能)とボランタリー性との拮抗関係について逡巡せざるを得ない状況を明らかにし、それを解消する見方として、専門職観の転換にあることを説いた。つまり専門職性を、過度な科学的根拠に求めるのではなく、柔軟で変更可能な知として捉える必要を検討した。それが、実践的専門(職)性である。(2)については、総合型クラブ論と社会福祉論の両論に多くの共通性が窺えることを前提とした上で整理を試みた。ここでも、非科学的・実践的専門(職)性への注視と、協働の専門性といった観点を導出した。(3)については、今後の研究視点へと繋がるのものであり、以下のCM専門職(性)観点を9点導出した(I理論知、II代替可能な技術、III価値性、IV自律性、V自己研鑚(継続性)、VI責任性、VII協働性、VIII経験知、IX代替不能な技術)。
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福岡教育大学紀要.第5分冊,芸術・保健体育・家政科編
巻: 60 ページ: 77-92