ある一定強度以上で筋収縮を繰り返すと、筋は疲労し運動継続が困難になる。この状態を筋疲労と呼ぶ。運動に起因する疲労に関する研究は1900年代初頭から始まり、現在に至るまで盛んに行われてきた。先行研究によって運動中に起こる疲労は末梢における神経学的・生化学的変化からのみでなく、中枢における抑制・不活性によっても引き起こされることが明らかになってきた。疲労は運動中に突然に発生するものではなく、末梢や中枢に生じる複数の要因が相互に作用し徐々に起こる現象である。そのため、疲労現象を正しく理解するためには疲労に関与していると考えられる複数の要因の変化を時系列的に同時に捉え検証する必要がある。そこで、本研究は運動中に生じる複数の疲労要因の変化を時系列的に観察し、主となる疲労要因について検討した。その結果、運動中に筋組織や呼吸循環系組織の生理学的変化が疲労に関与していることも確認したが、疲労は中枢神経活動の低下が直接的な要因として引き起こされる可能性が考えられた。
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