|
本研究は、アダプテッド・スポーツがもたらす様々な可能性を検討していくことを目的とするものである。 今年度は、その可能性を総合型地域スポーツクラブ場面に求め、そこに障がい児・者が加入しアダプテッド・スポーツが展開されることによってもたらされるクラブメンバー間の「気づき」と「つながり」の形成過程と「コミュニティへのまなざし」の可能性について過去の全国調査を基に抽出した2つのクラブの事例とクラブ論を踏まえつつ検討した。 その結果、総合型地域スポーツクラブは、もともとその開放性によって異質な要素(メンバー同士)の出会いが担保されており、各要素の直接的な交流が相互承認の機会を創出することから、それによってメンバー一人ひとりの楽しみが保障される空間であることがはそくされた。そして、そこにアダプテッド・スポーツが導入され、異質性を可視化させる存在である障がい児・者がメンバーとして加入することにより、相互承認の過程での気づきや配慮の経験がクラブの枠を超え、当該地域の課題や生活課題を共有する関係(クラブワーク)を生みだし、課題解決に向けて社会に影響を及ぼす集団としても期待されることになることが明らかになった。 このように、総合型地域スポーツクラブへの障がい児・者の加入は、バリアを可視化させ、バリアフリーへの気づきとコミュニティ形成への志向を促進する可能性を指摘し、スポーツを通じた相互承認とクラブワークを通した相互の学びによって、価値の多様性へのまなざし(ソーシャル・インクルージョン)を生みだす可能性を示すこととなった。
|