研究概要 |
成果1:2009年度中に実施した調査を論文にまとめ投稿した。現在査読中である。論文の要約は以下の通りである。先行研究(梅崎,2010)ではサッカーのトレーニングが,〔指導者-選手〕間の相互のバイアス視によって構成されている過程に注目した。このことがもたらす実践上の問題に,1)指導者が行うコーチングの定型化と,2)選手によるコーチングの歪んだ享受が挙げられる。以上の問題を新たなフィールドで追跡的に検討した本研究では,〔指導者-選手〕間の相互のバイアス構成が認められず,ただし戦績で先行研究の対象を上回ったことから,バイアス構成の有無が指導の成否に影響する可能性が示唆された。Yチームの指導は,1)特定の選手を照射するコーチング(フリーズ+〔発問〕(間接的コーチング))の機能が相対化されるとともに2)全選手の関わりが求められるトレーニングの内容によって,指導の公平性が保たれる内容であった。様々な制約の中で,バイアスのネガティブな顕在化を抑制するようにデザインされたYチームのトレーニングは,勝つことと育てることの両立を目指す指導現場にとって示唆的であると考えられた。 成果2:先行研究(梅崎,2010,査読中)を踏まえ,新たな調査フィールドを対象にデータを収集した(2010年2月,5月,7月,9月,11月)。現在,共同研究者とともに収集されたデータの分析を行っている。分析の結果は,日本発達心理学会・ソーシャル・モチベーション研究分化会(2011年4月)および日本教育心理学会(2011年7月)で発表が予定されており,この成果を二本の論文として投稿すべく準備を進めている。
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