研究概要 |
現在日本の各自治体において、スポーツタレント発掘・育成(以下TID)事業が実施されている。本研究は各事業のシステムを調査し、その評価選考方法や育成プログラムについて比較することを目的とする。今回は、種目特化型の山口県と秋田県における事業の主な項目について報告する。 山口県のTID事業はレスリングとセーリングを対象とした事業であり,県体育協会が実施している.主な拠点は、海洋スポーツ施設もある山口県スポーツ交流村およびやまぐちスポーツ医・科学サポートセンターである.財源は県費(山口県トップアスリート育成事業)を充てている。この2種目は,山口県の地域特性,すなわち指導者や育成環境の存在を活かして戦略的に設定された.選抜の段階ではレスリングおよびセーリングに特化したテストも実施される.事業にはスポーツ医・科学センターの職員も参加しており,指導や測定の知識及び設備を併せ持っている.受講者は少数ながらも,整備された環境の中で週4日の高頻度でプログラムが実施されており,トレーニングの質・量ともに優れている. 一方秋田県はフェンシングに特化したTID事業である。県とフェンシング協会が主として実施している。主な拠点は秋田県スポーツ科学センターである。選抜された選手は県各地区にあるフェンシングのジュニアチームに所属しトレーニングを積む。各選手ともオリンピック経験者を含む質の高いコーチにより指導を受け、コーチ間・チーム間での連携、および中央競技団体との連携もとれている。山口県と同様、事業に対する応募総数は数十名と少ないながらも、国際競技力向上に直結する事業となっている。
|