運動、特に下肢の筋活動は、肉体的な健康に対してだけでなく脳の認知機能にも大きな影響を与えることは一般に周知の事実である。筋活動が脳機能の維持や亢進に及ぼす影響を細胞レベルならびに分子レベルで追及することを目的とし本研究を行った。抗重力筋活動を抑制するために後肢懸垂を施したラットでは、記憶学習能力が低下する可能性があることが水迷路テストによって示唆された。また、記憶に関連する海馬におけるタンパク質の網羅的解析の結果、細胞保護、細胞死、神経新生、神経活動、神経回路形成に関するタンパク質の発現量ならびに修飾状況が変化していることが明らかとなった。
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