成熟ラットのヒラメ筋に0.03%カルジオトキシンを100μL注入し、14日後にサンプリングを行った。摘出筋は液体窒素で冷却したイソペンタン中で凍結した後、-20℃のコールドトーム内で凍結横断切片を作成し、各種筋分化マーカーとSer15がリン酸化されたHSP27(p-Ser15)との2重免疫組織化学染色を行った。その結果、筋再生中に出現する筋線維を含む全細胞中約20%がp-Ser15強発現細胞であることが明らかになった。さらに、それら強発現細胞の約80%が横断面積400μm^2以下の小型細胞であった。このような小型細胞にはジストロフィンの周辺局在が認められなかったため、筋管または未熟な筋線維であると考えられる。また、proximity ligation assay法によりp-Ser15とデスミンとのインタラクションの有無を確認したところ、p-Ser15強発現細胞において強いインタラクションが認められた。しかし一方で、p-Ser15強発現細胞が多く認められる低サイズ帯の細胞にはp-Ser15の強発現およびデスミンとのインタラクションが認められないものも多く観察された。以上の結果から、筋再生中に出現するp-Ser15強発現細胞は筋活動等によりダメージまたはストレスを受けた細胞である可能性が高く、筋再生過程においては未熟な細胞がより細胞ストレスを受けやすいことが示唆された。
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