レジスタンス運動による内分泌応答に対する中枢性の要因と末梢性の要因の関運性を検討した。成人男性9名を対象に、一過性のレジスタンス運動を負荷した。運動は、スクワットおよびレッグエクステンションの2種目とし、最大挙上重量の約70%の負荷に対し、各セット10回の反復を5セット実施した。運動前、運動終了直後~120分後まで連続的に採血し、血中乳酸および各種ホルモン濃度を測定した。また、得られた値から、運動終了後60分間における濃度曲線下面積(AUC)を算出した。さらに、運動前後に最大筋力を測定し、運動前後での最大筋力の低下率(fatigue index)を算出した。 その結果、運動後には血中乳酸濃度および各種ホルモン濃度の顕著な上昇が認められた(P<0.05)。そこで、血中乳酸濃度のAUCと各種ホルモン濃度のAUCとの関係を検討したところ、成長ホルモン(P=0.83)、コルチゾール(P=0.78)においては有意な正の相関関係が認められた(P<0.05)。一方、fatigue indexと各種ホルモン濃度のAUCとの関係を検討したところ、いずれの項目についても有意な相関関係は認められなかった。 血中乳酸濃度のAUCは運動に伴う筋代謝物の蓄積を反映し、「末梢性の要因」と位置づけられる。一方、fatigue indexには中枢性の要因(セントラルコマンド)と末梢性の要因(筋代謝物の蓄積)の双方が関与してい為と考えられる。したがって、本研究の結果は、レジスタンス運動に伴う成長ホルモンとコルチゾールの分泌には、「末梢性の要因」の影響が大きいことを示唆するものである。 なお、平成22年度は、バイブレーション刺激などを用い、運動時のセントラルコマンンドを増減させた状況下での内分泌系の応答を検討する予定である。
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