研究概要 |
本研究では、患者と医療スタッフの両面に働きかける双方向からの「新しい多面的支援システム」を構築することを目的とした。心疾患患者に必要な具体的な問題解決方法の提示を目的としたリーフレット調査から現状での患者側の情報不足とともに、手元に残る視覚情報の配布は抑うつ症状への対策の第一歩として有用であること、またこのツールが医療スタッフ側のサポート強化に十分活用できることが明らかとなった(心臓リハビリテーション, 19(suppl) 210-210, 2013.)。また国内外の調査報告から、特に本領域における我が国のうつ症状のスクリーニングおよびサポートシステムについて、「心血管疾患のリハビリテーションガイドライン」にまとめ、報告した(心臓リハビリテーション19(suppl) : 36-36, 2013.)。 次に短期介入後の継続調査から、本領域ではTypeD傾向が多く、TypeDが中長期的に患者の不安症状に影響を与えるとともに(第6回日本不安障害学会学術集会抄録p.66)、抑うつ症状に影響を与える一因であること、3ヵ月間の通常のリハビリテーション活動では不十分である可能性が高く、継続的な精神・心理面へのサポートの必要性が示唆された(Circulation Journal 2014Vol.78 SupplementIp.312)。 上記調査結果よりチーム医療・システムの提案として、心理職が循環器医療で担うべき役割と意義を①精神症状が悪化しやすく自殺念慮にも注意が必要な急性期(第114回 日本シネアンジオ研究会)、②現状の課題が再認識され過剰適応などへの注意が必要な慢性期(第70回 循環器心身医学会 抄録:p.24)など時期に分けてまとめ、各時期の特徴に合わせたサポート内容と丁寧な医療スタッフとの連携が重要であることを報告し、現在継続である心疾患予備軍への試験的介入とあわせ、総合的「心理面からの心疾患予防システム」を報告予定である。
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