本研究の目的は、これまでの先行研究に基づき立てられた仮説である、起床時の体温が低い幼児を対象にして、習慣的な運動によって体温低値を改善できるかどうかについて検証することであった。 昨年度までの調査によって、起床時体温が低い幼児では、昼食前には体温は高まるが、夕方及び就寝前には体温は再び低下すること、また低負荷運動中の心臓副交感神経活動が低い可能性が考えられた。これらのことから、帰宅後の活動量や、自律神経活動に対して大きな刺激を与えると考えらる負荷強度の高い運動が、体温の変動に影響を与える可能性が考えられた。そこで、幼児の起床時体温を測定し、同時に運動習慣を調査するために歩数計型生活習慣記録器を装着し、時間ごとに記録された運動量や運動強度、あるいは睡眠時間等を調査し、その関連性を調査した。 その結果、起床時体温の全体平均よりも1標準偏差以上低い値がみられた体温低値群と、それ以外の起床時体温であった比較対照群との間に、運動量、運動強度及び睡眠時間に、統計的有意な差は認められなかった。今後は、体温低値改善のプログラムを作成するためにも、体温低値児における日中の生活の様子や運動・遊びの様式の違いなどの定性的な側面にも着目しながら、調査を進める必要がある。 なお、昨年度より本研究によって得られた成果は、第65回日本体力医学会大会で学会発表された。現在は投稿論文に掲載するために準備しており、体育学研究等の外部雑誌に今後公表する予定である。
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