近年、子育てをめぐる諸問題に対して、様々な支援策や改善策が講じられるものの、少子化をはじめとして、子育て不安や児童虐待、子育ての孤立化といった問題が依然として解決に至っていない。乳幼児とその親を対象にした支援策を展開する上で、海外のプログラムでは、それぞれのプログラムがモジュール化され、介入評価研究が進んでいるとの報告がある。しかし、国内のプログラムでは、参加者からの意見や感想による評価によるものが多く、客観的評価に基づいたプログラムの見直しや再構成がなされておらず、今後の課題となっている。 平成21年度は、国内外の親支援プログラムに関する文献検討に加え、大学や協力自治体で実施されている親子教室等において、介入プログラムを試行し、これまで開発してきた運動プログラムの再検討とモジュール化のための資料収集を行った。あわせて、調査フィードバックに関して、OCR機能を活用したフィードバックシステムを構築し、実用化のための検討を行った。 国内の所属近隣地域の親支援プログラムを概観したところ、活用できる資源によって、様々なプログラムが展開されており、創意工夫が認められるものの、プログラム評価および検証については、ほとんど行われていないことが明らかとなった。また、地域に応じた健康支援システムの構築が必要不可欠であることを確認した。つまり、これまで国内外で検討されている健康支援システムあるいは親支援プログラムをそのままの形で各地域に適応させることは困難であり、地域資源の実情に合わせたモジュール開発が必要であることが示唆された。
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