平成22年度は、平成21年度に引き続き、国内外の親支援プログラムについて、文献検討に加え、大学や協力自治体で実施されている親子教室等において観察評価およびインタビューを行ってきた。その結果、国内の運動を通した健康支援、親支援プログラムを検討してきた結果、国内では、親子体操をはじめとした、親子のふれあいをベースとしたプログラムが、比較的多く展開されていることが明らかとなった。しかし、そのほとんどが、介入評価を前提としない、いわば主催者側の主観的評価によって進められているのが現状であることも明白となった。 本研究を通して関わりの得られた親子教室等のいくつかで介入プログラムを試行し、加えて、所属機関において介入プログラムを試行することで、親支援プログラムの方向性について検討を重ねてきた。また、平成22年度は、対象地域の乳幼児とその母親の生活面および心身健康状態について、実態調査を行い、現在、母子が置かれている状況を把握することとした。その結果、母親の心身健康状態は、全国的な傾向と同様に心身疲労を抱えながらも、いくばくかの支援を得て、がんばって子育てをしている現状が浮かび上がってきた。また、幼児の生活面は、こちらも全国的な傾向と同様に、遅寝遅起きからくる睡眠リズムの乱れから「落ち着きがない」「喜怒哀楽が激しい」といった母親の育てにくさを助長する状況に陥っていることが明らかとなった。平成22年度の研究成果から、地域の特色や文化的背景を鑑み、運動を通した健康支援システムについて、一定の方向性が見出されたものの、先行研究と同様に、評価内容に課題を残している。対象者が、乳幼児を持つ母親であるため、より簡便な評価方法によって評価体制を整えることが、次年度の課題として残された。
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