研究概要 |
本研究では、運動を通した親子ふれあいプログラムを試行し、その効果検証までをひとつとするシステムの構築を行ってきた。平成23年度は、所属機関において運動を通した親子ふれあいプログラムを試行し、その効果検証を行った。プログラム評価の方法は、Weiss(1998)のプログラム評価理論に基づき、主に3点から評価することとした。1)プログラムへの参加者数の推移と継続参加者の割合:プログラムは、採択期間内に全26回実施され、のべ1,176名の子どもたちが参加した。1回平均45.0名であった。継続参加者の割合をみると、26回分の平均は、61.4%であった。毎回、多くの参加者を獲得し、継続参加者が6割を超えていることから、参加者の満足度は高いものと推察された。2)参加者の主観的・数量的評価:親子がプログラムに対してどの程度肯定的に捉えているかについて、「身体活動の楽しみ尺度(Kendzierski,D.ら1991)」を用い検討した。その結果、「明るい気持ちになる」89.1%、「全くいらいらしない」88.9%、「とても気分転換になる」「楽しんでいる」などが87.0%であった。このことから、プログラムによって、参加者の気持ちや気分が高揚し、心身健康状態の改善に役立つのではないかと考えられ、一定の効果を把握することができた。ただし、この種のプログラムでは、おおむねポジティブな評価を得やすいことから、「楽しみ」「満足度」を基準とする評価は、プログラム評価としての限界があるものと考えられた。3)参加者の客観的・生化学的評価:プログラム(平成23年10月)前後で唾液中のアミラーゼを採取し分析した結果、有意な上昇が認められ(Z=-2.83,p<0.01)、運動刺激由来のアクティベーション効果が得られていることが推察された。本研究によって、運動を媒介とした健康支援を行うことで、アクティベーション効果を生み出し、親子の心身健康状態を改善させる可能性が示唆された。
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