筋力トレーニングは介護予防において重要な運動プログラムである。しかし、高強度の筋力トレーニングは動脈スティッフネス(硬化度)を増加させることが報告されている。本研究は動脈スティッフネスの増加を抑制する低強度筋力トレーニング法を開発する事を目的とした。平成21年度においては短いセット間休息をともなう低強度筋力トレーニングにおける動脈スティフネスの影響について検討した。その結果、短いセット間休息をともなう低強度筋力トレーニングは動脈スティフネスを低下させ、血管内皮機能を向上させることが明らかにされた。また、すべての筋力トレーニング種目において最大挙上重量が増加し、トレーニング効果が高いことが明らかにされた。平成22年度においては高強度筋力トレーニングの前後に低強度筋力トレーニングを実施するコンバインドトレーニングが動脈スティッフネスに及ぼす影響について検討した。その結果、高強度筋力トレーニング後に低強度筋力トレーニングを実施した群の動脈スティッフネスは変化しなかったものの、高強度筋力トレーニング前に低強度筋力トレーニングを実施した群の動脈スティッフネスは有意に増加した。したがって、低強度の筋力トレーニングは高強度の筋力トレーニング後に実施することが望ましく、高強度の筋力トレーニングに見られる動脈スティッフネスの増加を抑制することが示唆された。このように、低強度の筋力トレーニングは動脈スティッフネスの増加抑制に重要であることが明らかにされた。
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