2年間に観察される仕事のストレスの変化、ホルモンの変化、更年期症状が疾病休業へ及ぼす影響の検証 仕事のストレス、更年期に関連する性ホルモン(DHEA、テストステロン)、心理的ストレスとコルチゾール、更年期の症状や抑うつ感(CES-D)の変化と、2年間に観察された疾病休業の件数を調べ、リスク要因を明確にすることを目的として調査を行った。 2009年4月1日から2010年12月末日までの間で観測された休業者数は、全社員中62名であり、休業日数の平均は140日(SD=204.3)であった。休業者の内、身体的疾病の理由による者は50名、精神的疾病の理由による者は8名であった。このうち、2009年のベースライン調査の参加者で、2年間の追跡が可能だった者は207名(男性190名、女性27名)であった。この207名の休業者数は11名で、全て男性であった。身体的疾病の理由による者は9名で、精神的疾病の理由による者は1名であった。 2009年のベースラインにおける仕事のストレス、テストステロン値、抑うつ感と、更年期症状、性格特性を説明変数とし、2年間の疾病休業を目的変数としたロジスティック回帰分析を行った結果、身体的更年期症状とテストステロン値が高い場合、作動性(男性性)が低い場合は、疾病休業と有意に関連していることが分かった(p<0.05)。身体的疾病による休業を目的変数としたロジスティック回帰分析では、身体的更年期症状のみが有意に関連していたが(p<0.05)、テストステロン値も作動性(男性性)もほぼ同様の傾向を示した(p=0.05)。 男性の更年期症状は、疾病休業を予測することが明確になった。心理的な変数としては、男性性の特性である作動性の低さと疾病休業の関連性が示唆された。疾病休業への対策としては、男性の更年期症状の早期スクリーニング方法を確立し、職場における教育研修では作動性を高めるプログラムが求められる。
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