本研究の目的は、身体活動の促進によって介護予防を目指すボランティア活動がメンタルヘルスに及ぼす影響を明らかにすることであった。まず介護予防ボランティアへの参加がボランティア自身のメンタルヘルスに及ぼす直接効果を検証し(研究1)、次にモデル地区を設定し、その地区のボランティア活動の活性化が地域全体の高齢者のメンタルヘルスに及ぼす波及効果を検証した(研究2)。 平成21年度は主に研究1を実施した。その結果、約4ヶ月間の介護予防ボランティアに参加した群としなかった群では、生活満足度の変化に違いが認められた。ボランティアに参加しなかった群では生活満足度が低下したのに対して、参加した群ではわずかに向上がみられた。しかし自尊心には群間差が認められなかった。短期間の介護予防ボランティアへの参加は、自尊心への影響は少ないが、中高年者の生活満足度を向上させる可能性が示唆された。研究2については、モデル地区を設定し、ベースライン調査および1年後の追跡調査を実施した。その結果、ボランティア活動を活性化させた介入地区では、対照地区と比べてボランティア活動の認知度は向上したものの、抑うつ等メンタルヘルスへにおける変化は認められなかった。平成22年度は、引き続き研究1の追跡調査および研究2の介入・追跡調査を実施する予定である。
|