研究課題
【目的】運動はインスリン感受性を亢進させ、糖尿病・メタボリックシンドロームの予防・治療に有用であるが、その分子機序は明らかではない。我々は、マウスに一過性走運動を施すと、筋インスリン感受性の亢進とともに、マクロファージの集積を見出しており、本研究の目的は、運動による筋インスリン感受性の亢進に、運動後に集積したマクロファージが関与すると仮説し、検証を行った。【方法】運動の1日前にC57BL6Jマウスにクロドロネートリポソーム(CL)を腹腔内注射し、その後20m/min、10度の上り勾配で90分の一過性走運動を施し、その24時間後に足底筋を摘出し、ex vivo incubation法にてインスリン刺激し、2-deoxyglucoseの取り込みを測定した。また、CL投与後、ex vivo incubation法にてインスリン刺激し、タンパク質を抽出し、ウエスタンブロットにより、代表的なシグナルの活性化も検討した。さらに凍結切片を作成し、マクロファージ数を測定した。【結果】マクロファージが枯渇した条件下において、一過性走運動を施すと、非投与群ではインスリン感受性の亢進が認められるのに対して、CL投与群では、その亢進がほほ完全に抑制されていた。また、この際、Akt、PKC,MAPK,AMPKなどの代表的なシグナルには変化が認められなかった。さらに運動後には筋におけるM2マクロファージが増加したが、CL投与によってそれは抑制された。【考察】運動による筋インスリン感受性亢進にマクロファージがかかわっていることは示唆された。また、そのマクロファージはM2マクロファージであることが考えられた。
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J Diabetes Invest
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