女性において、骨粗髪症の主な原因は閉経による血清エストロゲンの低下である。また、男性においても、エストロゲンは骨吸収を調節する重要なホルモンであることが報告されている。他方、大豆イソフラボンは弱いエストロゲン様作用を持つことで、閉経後の骨量減少を抑えることが示されている。さらに、近年はダイゼインの代謝産物であるエクオール(EQ)が、他のイソフラボンより強いエストロゲン様活性を示すこと、イソフラボンの生体影響に深く関与している可能性が示唆されている。そこで、本研究では、男性の骨粗鬆症に対するEQの影響を評価することを目的とし、アンドロゲン欠乏による骨粗髪症モデルマウスを用いEQの骨代謝への影響を検討した。 EQまたは17β-エストラジオール(E2)を充填した浸透圧ポンプを、精巣摘出(ORX)マウスの皮下に埋め込み、EQ 0.25mg/日、EQ 0.50mg/日、またはE20.03μg/日の濃度で4週間投与した。飼料はAIN-93Gを基本組成とし、大豆油をコーン油に置換したものをpair-feedingで与えた。血中および尿中EQ濃度、脛骨骨密度(BMD)、尿中デオキシピリジノリン(DPD)濃度を測定した。 4週間のEQ投与後、体重は全群間で差が認められなかった。EQ投与により、尿中EQ濃度は用量依存的に増加し、脛骨の骨量減少を用量依存的に抑制した。特に海綿骨の多い脛骨近位部、および遠位部において、EQのBMDへの影響が顕著であった。また、骨吸収マーカーである尿中DPD濃度はEQ 0.50mg/日投与群でORX群と比較し低い傾向を示した。これらの結果より、EQは雄性骨粗髪症モデル動物の骨吸収を抑制し、骨量減少を抑えることが示唆された。本研究において、男性骨粗霧症の予防に繋がる重要な結果が得られた。今後はその作用機序に関して研究を進める予定である。
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