研究概要 |
〈目的〉本研究の目的は、高齢者でも「安全に行える効果的な」筋力トレーニング法の開発である。比較的軽負荷強度で行う筋発揮張力維持法(以下LSTと表記)がその方法のひとつとして提案できる。 〈実施内容〉本年度は自体重を用いたLSTの生理応答およびトレーニング効果の観察を行った。被験者,運動内容,測定項目は以下の通りであった。 [被験者]健康な前期高齢者(65-74歳)男・女各10名ずつ20名×2群(以下の2つのトレーニング群)合計40名。 [運動内容]運動種目:スクワット、プッシュアップ、クランチ、バックエクステンション,セット数:10回×2セット,セット間インターバル:60秒,頻度・期間:週2回×12週間10名ずつのグループ指導で行った [運動群]LST群(3秒上げ・3秒下しの動作で行う群)、通常群(1秒上げ・1秒下し・1秒休みの動作で行う群) [測定内容]測定項目:筋厚、皮脂厚等 身体組成に関する項目、1RMテスト、等尺性筋力等 筋力に関する項目、ハイスピードカメラを用いた動作分析など 〈結果〉筋厚はLST群、通常群のどちらにおいての有意な変化は見られなかった。1RMテスト,等尺性筋力は2群共に有意な増加を示し、2群間の増加に差はみられなかった。 〈意義〉マシンを用いたマンツーマン指導の介入を行った昨年度の実験ではLST群で有意な筋肥大効果がみられたが、自体重を用いたグループ指導の介入を行った本年度は有意な筋肥大効果が見られなかった。動作のやや難しいLSTではグループによる指導では効果が出にくいのかもしれない。また、自体重を用いた多関節運動では持続的な筋発揮張力を維持するLSTには適用しにくい可能性がある。これらの原因の究明と、さらなるプログラムの改善が今後の課題として残った。
|