JISS既存の女性アスリート144名のMRI画像を解析対象とした。運動様式の相違から、Non-Impact群(競泳、シンクロナイズドスイミング選手)、Low-Impact群(陸上中・長距離、競歩、クロスカントリースキー、スピードスケート)、Odd-Impact群(サッカー、ソフトボール)、High-Impact群(バレーボール、バスケットボール)に群分けした。右大腿骨中央部の皮質骨外周囲、皮質骨面積、骨髄腔面積、最小断面2次モーメント等を算出した。 一元配置分散分析の結果、High群が他の群と比較して全ての項目において有意に高い値を示し、骨の外側方向への肥大が確認された。また、Odd群はNon群およびLow群よりも有意に高い値を示したが、Non群とLow群の間には有意な差はなかった。一方、身長を共変量とした共分散分析の結果、High群とOdd群の間には有意差はなかったが、他の群と比較すると骨髄腔面積を除く全項目は有意な高値を示した。また、皮質骨面積や断面2次モーメント等はNon群よりもLow群が有意な高値を示した。 以上の結果から、荷重運動であり、骨に加わる負荷が高い種目ほど、骨の肥大とそれに伴う力学的特性(骨強度)の増加が顕著であることが明らかとなった。これまでバレーボールのようなジャンプ運動が骨に高い効果があると報告されてきたが、サッカーなどでみられるダッシュやカッティング動作などの負荷においても、骨に十分な効果があることが明らかとなった。また、数少ない骨横断面に関する先行研究ではQCTやpQCT法にて骨形態や力学的特性を分析することが多かったが、今回はMRIを用いX線の被爆なしに十分な骨の解析が出来ることが明らかとなった。
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