本研究の目的は、力学的負荷の相違が大腿骨の骨幹中央部骨形態に及ぼす影響について検討することであり、様々な種目のトップアスリートを対象にMRI画像から骨形態を分析した。 今年度実施した種目は、モーグル(男女)、陸上競技・競歩(男女)、陸上競技・7種(女)、トライアスロン(男女)、クロスカントリースキー(男女)、レスリング(女)、ソフトテニス(男)、スノーボード(男女)、ウィンドサーフィン(男女)、ウェイトリフティング(男女)、一般人(男女)であった。MRI撮影以外に、空気置換法による体組成の測定、超音波法による踵骨の骨強度測定、骨代謝マーカー(骨型アルカリフォスファターゼ、オステオカルシン、ICTP、NTx、カルシトニン)の分析および運動歴、運動量、月経(女性選手のみ)、常用薬等に関するアンケートを併せて実施した。骨形態の解析項目は、皮質骨内周囲、皮質骨外周囲、皮質骨面積、骨髄腔面積、最小および最大断面2次モーメントであった。 近年、運動が骨形態に及ぼす影響について関心が高まっているが、運動特性(力学的負荷)と骨形態に関する研究は少なく、特に大腿骨に関するデータが非常に少ないこと、性差についての検討が少ないこと、などが問題として挙げられる。日本においても、アスリートを対象とした骨関連データ(骨強度、骨形態、骨代謝マーカー等)はほとんどない。しかし、本研究ではトップアスリートのみを対象とし、これらについて分析していることから、運動特性と骨との関連をよりよく評価できると考えられ、運動と骨に関する基礎的資料を提供できるものと考えられる。
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