研究概要 |
近年microRNAやsiRNAなどの低分子の機能性RNAが遺伝子発現を制御し、様々な生理現象、疾患発症に関与することが明らかになっている。我々も骨形成を担っている骨芽細胞分化にmicroRNAが深く関与していることをarray解析により見出た。 本年度は、microRNA-141-200aが骨分化において作用する転写因子Dlx5を標的としていることを以下に示した方法により検証した。 【検証事項】 (1) 変動microRNAsのPrecursorまたにAntisense Inhibitorを導入することによる分化への影響 (分化:ALP活性、石灰化:Alizarin Red染色、タンパク及びmRNA発現:Western blotting, qRTーPCR)。 (2) 標的遺伝子の同定 標的遺伝子の3^'-非翻訳領域へのmicroRNAの結合(3^'-非翻訳領域へのmicroRNAの結合領域を変異および欠損を加え実証する)をLuciferase reporter assayにより検証した。 明らかにした。 (3) 初代培養細胞による実証 検証された事項について初代培養系でも確認できるか検証した。 以上の手法から、microRNA-141/-200aが骨芽細胞分化に関わる転写因子の1つであるDlx5を標的としていることを実証し、J. Bilo. Chem. (284,19272-19279(2009))に報告した。さらに、現在、microRNA-208が骨芽細胞分化にかかわる転写因子であるEtslを標的にしていることが明らかとなり、最終の確認作業を行っている。加えて、バイオインフォマティクスデータ解析により、microRNA-192,-370がIGF-IとATF1,BMP-2とEts1をそれぞれ標すとしていることが推測されたことから、次年度、これらmicroRNAの標的遺伝子の同定を進め、microRNAによる分化調節メカニズムの解明を行う。
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