本研究は、従来都市において子供が積極的に親しめる水辺環境整備と、安全性を両立させるために、「水難事故をできるだけ未然に防ぐことができるか、または早く発見するか」という視点を重視し、ユビキタス情報社会に即したシステムを提案、実験的に評価することを目的としている。その目的達成のために、水難事故に関する要因分析を行う。次にその要因分析結果かち防止策及び早期発見システムの提案と設計を行う。本年度は研究初年度であり、(1)システム設計に必要な資料作成と(2)海辺における安全・環境に対するモニタリングシステムの基礎検討を行った。(1)では過去の事例研究ならびに統計資料を調査、整理を行い、水難事故を客観的に評価分析した。その結果、重大事故に関しては海と河川が多く、想定している都市水辺環境に関する自己の比率が低かった。そこで次に水辺環境の近さと都市・郊外に分け、さらに年齢別に小学2年生と5年生の児童に対して水辺環境と安全意識に関するアンケートを実施した。その結果、児童の「事故」に関する認識が水辺環境の有無により大きく異なっていた。また環境に関わらず年齢により行動特性が似ていた。また都市部の児童が親水公園へ行く比率は高く、事故防止並びに事故早期発見システムの重要性が確かめられた。ただし回答数が少なかったため、システム設計に関してはさらなる調査を必要とすると考えられる。(2)では重大事故が多く発生する沿岸部の安全対策の一つとして、環境観測を実時間化するシステムにより減災することが検討されている。そこで沿岸環境観測システムのユビキタス化を試みた。この過程にて富山高専と共同研究が決まり、富山湾にてシステム構築のための某礎的検討項目として通信実験を実施した。その結果、システム構築の実現性が確認できたため、現在センサブイを使用した耐候試験を実施中である。
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