研究概要 |
本研究では、介護労働職場における就労での雇用形態別にみた就労状況の実態と就労意識を調査することにより、正規職員とパートタイマー,およびその管理業務者を含めた三者三様の立場からの「介護職におけるディーセント・ワーク」の在り方について明らかにすることを企図して、調査・分析を行ってきた。 まず、介護施設の施設管理者,介護実務に携わる正規雇用者,非正規雇用者の三者に対するヒアリング調査を実施した。これら三者の合意を同時に得られる調査対象施設は非常に限られており、調査規模は大幅に縮小する結果となったが、計画中に仮説として挙げていた三者の意識の構造の相違は明確に裏付けられた。 研究計画の後半では、そうした現場に三者が対話し、協働して現状の労働環境の改善を行うべく、グループワーキングによる参加型改善活動の実験的調査を計画していたが、現在の介護労働職場では、三者が一同に会してそうした活動を行うためのスケジュール調整が困難であることから、調査対象施設での実施を変更し、全日本自治団体労働組合における介護職を対象とした年次集会の参加者(施設管理職,介護労働実務者(施設・訪問)の代表者)の協力を得て、模擬的に改善グループワーキングを行い、三者それぞれの立場からの職場改善要望書の作成のため職場評価実習を行い、その代替とした。 結果、職場改善チェックリストによる職場の見直しとグループワーキングによる対話の有効性が明らかとなった一方、一同に会さなければ実践できない、場所・時間を確保するのが困難という実践上の課題も示された。 以上の結果を踏まえた今後の研究方針としては、その三者が協働して改善活動を行うことができる方法について、「同一の場所・時間に会する」という機会が無くても可能な方法について研究課題をシフトする必要があることが示された。
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