マメ科植物の種子から抽出される多糖であるガラクトマンナンは、安価で、高粘度であることから、工業的に生産されている。ガラクトマンナン多糖には側鎖の頻度の異なるグアーガム、タラガム、ローカストビーンガムなどがあり、これらはゲル化、液晶化などの高次構造変化がみられる。本研究では、側鎖頻度の異なるガラクトマンナン多糖に植物由来の各種多糖を添加して相乗効果によるヒドロゲルを調製した。示差走査熱量分析(DSC)を用いてゲルの高次構造を明らかにし、保水性向上を検討することを目的とした。 側鎖頻度の異なるガラクトマンナン水溶液を凍結解凍したところ、側鎖頻度の低いローカストビーンガムおよびカシアガムはヒドロゲルを形成したが、側鎖頻度の高いガラクトマンナンはゲルを形成しなかった。側鎖頻度によりゲル形成能が異なることが明らかとなった。ローカストビーンガムまたはカシアガムに植物由来の他の多糖を混合して凍結解凍すると、混合する多糖の種類によりグル化に及ぼす影響か異なった。この結果から、混合する多糖の分子構造や高次構造がゲル化に寄与することが明らかとなった。 ガラクトマンナンに微量の水が吸着した時の挙動を低温でのDSCで検討すると、側鎖頻度により高次構造が異なることが分かった。特に、側鎖頻度の高いフェヌグリークガム、グアーガムは複雑な高次構造を示唆した。また、ガラクトマンナン-水系には不凍水が存在することが分かった。不凍水量からガラクトマンナン分子は水分子を束縛することが分かった。これらの結果を側鎖頻度に対してプロットすると、側鎖頻度により水分子との挙動が異なることが明らかとなった。以上の結果はガラクトマンナンヒドロゲルの保水性向上へ応用できると考えられる。
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