本研究は地域特産野菜の栄養性・機能性を解明するとともに、昨今、注目の集まっている米粉を使った食品への拡大利用について検討することを目的としている。H21年度に新潟県の地域特産野菜の抗酸化性を測定した中で比較的高い抗酸化性を示すことが明らかになった女池菜を取り上げ、本年度はその利用拡大のための新たな利用法として女池菜粉末を添加した米粉パンの焼成を行った。その際、女池菜粉末には前処理加工法の異なる2種の粉末(生、スチーム)を使用し、添加割合と抗酸化性(DPPHラジカル捕捉活性および総ポリフェノール量)の関係を明らかにするとともに、官能評価により嗜好性を調査した。その結果、女池菜粉末を添加しないパンに比べて女池菜粉末(生)5%添加および女池菜粉末(スチーム)5%添加パンは総ポリフェノール量は約2倍、ラジカル捕捉活性は4~5倍高いことが明らかとなった。また、女池菜粉末を添加したパンでは、女池菜粉末(生)5%添加パンの方が女池菜粉末(スチーム)5%添加パンよりも有意に抗酸化性が高かった。官能評価においては、女池菜粉末(生)5%添加パンは女池菜粉末(生)2.5%添加パンよりも、弾力および食感は好まれたが、味(青臭さ)および味(苦み、辛み)では有意に好まれなかった。一方、女池菜粉末(スチーム)2.5%添加パンは色以外の項目で全て有意に好まれた。このように、前処理としてスチーム加工を行わず生鮮品を温風乾燥処理した女池菜粉末を用いることで、より高い抗酸化性を付与した米粉パンが焼成できるが、嗜好性においては女池菜粉末の添加割合が少なく、スチーム加工したものを添加した米粉パンがより好まれることが明らかになった。
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