従来は全く利用価値のないトマト葉の有効利用を目的として、トマト葉が新規食品素材として利用可能かどうかについて検討を行った。本研究では、トマト果実に多く含まれるγ-アミノ酪酸(GABA)に注目し、トマト葉にもGABAが多く含まれるのではないかと考えた。そこで、トマト葉のGABA含有量の季節変動や処理中の消長、トマト葉を実験動物に与えた場合の血圧の変化等について検討を行った。その結果、摘採時期にもよるが、トマト葉にはGABAが470mg/100g程度含まれ、生葉の周辺空気を窒素置換し、無酸素処理することによってGABA含有量が増加することがわかった。そして、トマト葉抽出液を高血圧自然発症ラットに投与した結果、有意に血圧が低下することが確認できた。しかしながら、トマト葉にはトマチンというアルカロイド物質が含まれているため、トマチンをうまく取り除いて、トマト葉から高濃度のGABAを抽出することが可能になれば、新規食品素材としての有効性が広がるものと示唆された。
|