地球温暖化にともなう高温障害は、米の収量や品質の低下を引き起こす。外観不良の米は、白色不透明部の位置により乳心白米、背白米、腹白米等と称され、これらは米飯の食味劣化の一因となるほか、食料問題にもつながる。しかし、高温障害米における食味劣化の機構や原因については不明な点が多い。そこで、本研究では画像解析に基づいた米の新規食味評価法の確立をめざし、高温障害米の食味に関わる物理化学的特性について調べた。 平成22年度は、昨年度に引き続き、21年新潟県三条市産コシヒカリと同こしいぶき(玄米)を用い、穀類判別器(ケツト科学研究所製RN600)と目視により整粒(透明な米粒)と乳心白粒とに分類した。高温障害の程度を数値化するため、画像解析ソフトにより心白発現割合を算出した。その後、玄米の千粒重や粒経(長さ・幅・厚み)を調べ、SEM観察(キーエンス製VE9800)を行った。また、精米後の1粒飯の破断特性についても調べた。 心白発現割合が増加すると、コシヒカリ(玄米)の千粒重や粒径は低下し、SEM観察では乳心白粒内の澱粉粒は損傷している傾向にあった。炊飯後のコシヒカリは、心白発現割合が大きくなるほど、飯は軟らかくなった。こしいぶきについても、千粒重および粒径はコシヒカリと同様に減少した。今後は、これら米澱粉の物理化学的特性や品種の影響についても検討する必要があると思われた。 本研究の成果の一部は、日本応用糖質科学会平成22年度大会にて発表された。
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