研究課題
21年度までに、専門家パネルにおける食感のプロファイリングに用いる評価用語として、当初想定していたISO5492以外にISO11036評価用語を用いることで、より精密に牛肉の食感を表現できることが判明した。そこで22年度はISO11036において定義された「かみ切りやすさ」「変形しやすさ」評価基準を用いた精密な専門家型定量的食感評価を行うとともに、54名の消費者型パネリストを用いた官能評価を行い、これらサンプルについて個々の消費者の基準で「やわらかさ」「食感の好ましさ」を評価させた。その結果、調理温度を50℃から92℃まで上昇させたときに、専門家型官能評価における「かみ切りやすさ」および「変形しやすさ」評点は異なる変化を示した。同じサンプルを用いた消費者型官能評価では、専門家型官能評価において最も「かみ切りやすく」「変形しやすい」と判定された60℃のサンプルがもっとも「やわらかい」と判定された。このことから、消費者が判断する牛肉の「やわらかさ」には、ISO11036食感評価基準のうち「かみ切りやすさ」「変形しやすさ」の両方が含まれていることが示された。また、外的嗜好マッピングの結果より、消費者の考える牛肉の「やわらかさ」においては、「変形しやすさ」が「かみ切りやすさ」よりも優先的な判断基準となっている可能性が示唆された。さらに「食感の好ましさ」については「やわらかさ」と同様の結果を示した。これらの結果は、今後消費者が感じる「やわらかさ」「食感の好ましさ」を向上させるための牛肉の食感評価及び改善においては、「かみ切りやすさ」と「変形しやすさ」の両方を客観的に評価して改善を図る必要があることを示唆している。
すべて 2010 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 備考 (1件)
Meat Science
巻: 86 ページ: 422-429
http://www.nilgs.affrc.go.jp/org/aprt/hinteam/teamgyoseki.html