血管新生と酸化ストレスは共に疾病発症に深く関与していることから、血管新生抑制作用を有し、かつ生体の酸化ストレス防御系を活性化する機能成分は健康維持に有益である可能性が極めて高い。本研究では生体における酸化ストレス防御系において中心的な役割を果たす転写因子Nrf2を活性するローズマリー由来の食品成分が血管新生に与える影響を検討し、カルノシン酸が強力な血管新生抑制作用を有することを見出した。またカルノシン酸と同様にローズマリーに含まれる抗酸化成分カルノソールも血管新生抑制作用を示すことが明らかになったが、その効果はカルノシン酸の方が強力であった。さらにカルノシン酸の機能成分としての有効性を個体レベルで評価する手がかりを得るために、血管新生および酸化ストレスが病態の発症・進行に深く関与している癌に対する影響を検討した。ガン細胞として卵巣腫瘍細胞株SKVO3を用いて、定量リアルタイムPCR法により血管新生に関連した因子の発現変動を調べた結果、カルノシン酸処理により血管内皮細胞増殖因子VEGFの発現が変動する可能性が示された。以上より、カルノシン酸は酸化ストレス防御活性化成分として強力な血管新生抑制効果を示すことが明らかになり、機能成分としての有効性が示唆された。
|