研究課題
近年、我が国の青年期男性は、約2割が肥満、青年期女性は、約2割がやせであるのが現状である。このような社会的背景を是正するためにも、青年期に対するメタボリックシンドロームの予防・改善のための栄養教育が非常に重要であるが、青年期に対する栄養教育・指導においての研究実施例は少ない。またエビデンスに基づく栄養教育や食生活・栄養状態を反映するアセスメントの実施、栄養教育効果についてバイオマーカーなどを分析し、詳細に検討した報告例はさらに乏しいのが現状である。そこで、本研究では、大学生に対する行動科学理論に基づいた栄養教育の実施とその評価や食生活状態を裏付ける科学的マーカーの探索として、グレリン・レプチン等の新規摂食関連ホルモンなどとの関連性を分析し、青年期の食生活・栄養状態を反映するバイオマーカーとしての有効性の確立と、青年期に対する効果的な栄養教育プログラムの確立・構築を最終目的とするプロジェクトである。平成21年度は、S大学内の学生を対象に公募し、研究についての詳細な説明を実施後、同意を得られた者を対象者として選定し、対象者の食生活や健康状態の実態把握のため、栄養アセスメントや食生活に関する意識・準備性を調べた。血液パラメーターにおいては、一般生化学検査とレプチン、活性型・不活性型グレリン濃度をELISA法にて測定を行った。その結果、本研究対象者の女子は、やせに該当する者が全体の3割近くを占めていた。また、BMIは正常域(18.5≦BMI<25)であるが、体脂肪率が高い「正常体重肥満」の者も見受けられた。食生活状態は、食事バランスが悪い、野菜摂取量が少ない、菓子類の摂取量が多いことなどが明らかになった。血液パラメーターにおいては、体脂肪率が高い者ほど血清中HDL-Chol濃度が低値を示し、LDL-Chol、グルコース、レプチン濃度が高値を示した。
すべて 2009
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ITE-IBA Letters on Batteries, New Technologies & Medicine 2
ページ: 42-47