研究課題
解糖系の中間体であるメチルグリオキザール(MG)はタンパク質と容易に反応し、その生成物はAdvanced glycation end products(AGEs)として糖尿病合併症のマーカーと考えられている。我々はこれまでに、各種がん細胞株において種々のストレスに応答して発現誘導される熱ショックタンパク質Hsp27がMG翻訳後修飾を受けることを見出した。がん細胞におけるMG濃度の上昇について、ATP合成にかかわりMGの代謝で生じるD-乳酸の濃度を測定した結果、その濃度が正常細胞に比べて2倍上昇していた。アポトーシス誘導にかかわるカスパーゼの活性化について、過酸化水素処理による細胞内カスパーゼ-3及びカスパーゼ-9の活性化に対するHsp27の抑制効果がMG修飾によって更に増強された。一方リン酸化によりHsp27のそれらの活性化に対する抑制効果が取り消されたが、リン酸化Hsp27のMG修飾によってその機能が復活或いは増強された。チトクロムc処理によるカスパーゼ活性化においてもリン酸化Hsp27のその抑制機能がMG修飾によって増強された。細胞内の活性酸素量はHsp27のMG修飾によって減少した。以上の結果とこれまでに得られた翻訳後修飾によるHsp27シャペロン機能調節の結果から、細胞死制御にHsp27のリン酸化修飾とMG修飾が密接にかかわると予想された。
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