AMPK(AMP activated kinase)はAMPを基質とするキナーゼで、生体内エネルギー代謝に深く関わっており、細胞への糖の取り込み、糖新生、脂肪酸合成などの制御にはたらく。AMPKは細胞内のAMP/ATP比が上昇することにより活性化される。肥満や糖尿病発症モデルでは摂食中枢や骨格筋でのAMPK活性が変化しており、エネルギー代謝の異常に拍車をかけていることが示唆されてきた。本研究に先行してAMPKの基質であるAMPを摂取した場合に糖の取り込みに変化がみられるかマウスを用いて検討した結果、有意に血糖上昇が抑制され、しかし血中インスリン濃度の変化にはコントロールと対照群で大きな違いが認められない結果を得た。この結果より体外からの糖取り込みに関わる小腸上皮細胞の機能にAMP摂取が何らかの影響を及ぼしている可能性が考えられたため、この点について明らかにすることを目的に研究を行った。 平成21年度(1力年目)は、培養した小腸上皮細胞をAMP(+)/AMP(-)の条件下におき、糖取り込みとAMPK活性の変化を検討した。その結果、AMP(+)条件下で糖の取り込み速度の上昇がうかがえた。しかし測定ごとのばらつきが大きく、明確な違いを認めるに至らなかった。原因の一つとして細胞の状態を一定に保つことが難しかったことが考えられる。培養条件の見直しを図り、速やかに研究実施計画を実行できるよう引き続き務めているところである。
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