これまで我々は、リウマチ様関節炎を自然発症するHuman T cell Leukemia Virus Type I (HTLV-1) 遺伝子導入(Tg)マウスに核酸・核タンパク(NP)1.2%含有餌を3ヶ月間摂取させたところ、関節肥大、組織の増悪等が抑制されることや、NO酸化代謝物(3-ニトロチロシン)を低下させることを報告した。さらに、電子スピン共鳴法(ESR)を用いて核タンパクが一重項酸素およびNO消去能を示すことをin vitroの実験で明らかにした。しかし、生体内に摂取された後の核タンパクのフリーラジカルに対する作用は不明である。 そこで今年度はリポポリサッカライド(LPS)誘導性肝傷害モデルマウスを作製し、NOが原因となって生じる肝傷害に対する核タンパク摂取の作用を調べた。雄性C57BLマウスは無核タンパク餌(non-NP)もしくは1.2%核タンパク餌(1.2%NP)を2週間自由摂取させた後にLPS 30mg/kgを腹腔内投与した。血清および肝臓を採取し、核タンパクの肝傷害抑制とNO産生能を検討した。その結果、血清中ALT値と肝組織中NO強度はNP摂取で低値を示した。また、肝組織の3-NT及びIba-1陽性反応はNP摂取で抑制された。さらに、肝臓内iNOSタンパク発現量はNP摂取により有意に減少した。 以上より、NP摂取は過剰産生されたNOを直接消去するだけでなく、クッパー細胞の活性化抑制やiNOSタンパクの発現抑制により肝傷害を改善することが明らかとなった。
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