本研究は、市民や大学生による河川整備プランのデザイン(仙台市における広瀬川と都市機能の共存)と、それらの実現性を裏付ける河川魚類の基礎研究との往還に基づいて、大学ならびに大学生がデザインから実践に至るまでの過程に関与する、都市の河川環境の持続的活用のためのESDを提言、実践することを目指している。今年度は、広瀬川にサケやアユなどの回遊性魚類を増やすためにどのような環境整備の目標を設定すればよいのかについて、ワークショップや関係機関との会議を継続的に実施して意見を集積した。このプロセスでは、サケやアユの保全によっていかなる生態系サービスが得られるのかを主眼に置いた。また、これらの研究アイデアや成果を学会・紀要において公表・討議した。また上記の環境整備の計画が生物学的に実現可能かを検証する基礎研究として、魚類の回遊行動や産卵生態に関する実験ならびにデータ収集を行い、同じく学会・論文(総説)にて報告した。今後は、これらのESDならびに基礎研究の知見を総合し、教員養成系大学の学生と共に、都市機能と河川環境が融合する新たな地域再生のための総合プランを案出し、構想の全体を冊子媒体にて公表する計画を推進すると共に、計画の一部を仙台市広瀬川をモデルに実践していくことを目指す。
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