研究概要 |
1.ユビキタスラーニング環境において,児童・生徒の科学概念形成に有効な教材開発および授業方法の検討を行った。理科授業では,導入やまとめの場面において視覚的に実験方法や実験・観察結果を共有することにより理解を図るICT活用と,既存の実験では成し得ることが出来なかったような実験をICTを活用することによって効果的な科学概念形成を構築することが考えられる。特に,1/1000fpsの分解能を持つデジタルカメラやITセンサーを活用し,物理では力学,電磁気学,光学分野,化学では物質の三態変化,地学では堆積の分野の教材開発を行った。 2.研究で得られた教材および授業方法について,教員志望の大学生・大学院生・現職教員などを指導し,研究協力校において授業実践を平成22年度からのべ10回行った。実践授業を受講した中学生には授業ごとに,指導した大学生・大学院生には年度の終わりに,科学概念形成に対するICT活用の有効性について意識調査を行った。中学生を対象とした調査からは,概ね好評であり,理科に対する興味・関心の喚起の点では有効であったと言えるが,学力向上に結び付いたかどうかはこの実践だけでは十分に評価が出来なかった。ICT活用指導力を身に付けた大学生・大学院生に対する調査からは,ユビキタス環境づくりに対する自信をつけることはできなかったが,教員になってからもICTを活用した授業を実施することに対する意欲的な回答が多く寄せられた。 3.物理教育などの国内外の会議に出席し,研究発表を行った。また,本学で開催された理科教育のシンポジウムにおいて実演を含む研究発表をし,地域の教員に対する理科授業におけるICT活用の普及活動を行った。
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