研究課題
本研究の目的は、市民参加型テクノロジー・アセスメントの手法について、さまざまな手法の特色や実施事例を詳細に分析するとともに、こうした手法の将来の普及に対応しうる資質・能力をもった児童・生徒を育成するための、理科教育におけるカリキュラム開発を行うことである。本年度は、これまでの情報収集やカリキュラム開発を継続しつつ、開発したカリキュラムの試行・評価を実施した。まず、これまでの研究を踏まえて、市民参加型テクノロジー・アセスメントの手法(とくに市民陪審の手法を中心に)を導入した理科カリキュラムの試案を作成した。この時、昨年度に試行したカリキュラムの経験を踏まえ、学習指導内容を小冊子としてまとめたテキストを作成した。また、テキストと併用する補助教材も作成した。次に、開発したカリキュラム(テキスト)を、地域におけるイベントの中で試行し、対象者の反応や感想を記録・分析した。この結果を踏まえて改良を加えたカリキュラム(テキスト)を、高等学校における理科授業において試行した。なお、これらの試行においては、対象者・生徒の動きや発話を詳細に記録した上で、発話プロトコル分析・授業分析等を行うとともに、プレ・ポストの質問紙調査などを通じて、活用効果を検証した。また、補助的な研究作業として、市民参加型テクノロジー・アセスメントに関する市民の意識調査の結果を詳細に分析した。以上の研究により、市民参加型テクノロジー・アセスメントの手法を導入した理科カリキュラムは、一定の活用効果をもつことが明らかとなった。また、科学技術政策への市民参加や本研究のようなカリキュラム開発は、市民から一定の指示を得られることも示唆された。
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麻布大学雑誌
巻: 23 ページ: 37-48
日本科学教育学会研究会研究報告
巻: Vol.25, No.3 ページ: 71-76