研究概要 |
本研究課題をすすめる上で当初より解決しなければならなかった,研究環境(設備・人的資源・研究に対する認識などあらゆるものを含む)の整備は,本年度でも積極的に続けてきており,研究に必要な論文・専門書などへのアクセスの点は特に重視し,行政組織の中でも研究活動が滞ることの無いよう努めてきた. 次に,当初目的としてきた,学術政策における集中性指標の検討・開発である. 特に政策決定の場面では,求める解を限定してしまわないまでも,ある程度の範囲内におさめなければならないという社会的制約がある場合が多い. 一部の自然科学で得られるような絶対的な尺度は必ずしも存在せず,その必要性に応じて指標・統計量を選択し,その長短を理解しておく必要がある.本研究課題では,集中の極の数が変化していく場合に対応する指標を考案した. さらに,昨年度より学術の動向を調査する研究を続けており,その中でも学会の組織化や研究集会の開催状況なども調べてきている.しかし,平成23年度は東日本大震災の影響により,研究集会の軒並みの中止ないし予定変更が相次いでおり,実際に学会に出かけて調査するという方針をとることは困難であることが予想された.よって,学術の動向を異なる視点でとらえる方法として,研究成果・知識の組織化について,大学という場での知識の伝達形式,すなわち教育課程を調べることとした・その調査を通じて教育課程の編纂方針として,実際の研究成果を他者へ伝授していくというシーズ志向のものと,専門職を育成するために社会から求められてくるというニーズ志向のもの,その両方を考えていくことが重要であることがわかってくる.
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