研究概要 |
本研究では,遠隔情報保障システムの機能とコストとの関係を分析し,より簡便な遠隔情報保証システムの構築を目標としている. 筑波技術大学内に簡易的な遠隔情報保障スタジオを構築し,東北大学内に持ち運びが可能な情報保障受信ステーションを構築した.また,2点間の接続の確立と,遠隔手話通訳が十分に可能であることを確認した.本研究で構築したシステムは,従来のシステムよりも安価に構築する事ができ,作業コスト(人的コスト)も低く抑えることを可能とした. 簡易型遠隔情報保障スタジオでは,手話通訳に加え,講師の使用するPowerPoint等への手書きメモの支援,および専門用語等を手話表現の代替に利用出来るキーワードの提示を可能としており,従来の遠隔情報保障スタジオの備えている機能と同等の機能を低コストで実現できている. 本年度構築した遠隔情報保障受信ステーションでは,従来型のディスプレイケーブルからの手話通訳映像の出力に加え,無線LANを利用したWindows PC,およびiPod touchへの情報保障配信を可能としている.情報保障提供機能のオールインワンパッケージ化,および情報保障の無線配信によって,配線等の作業コストを大幅に削減できたと考える. 上記2種のシステムの構築は,一般的はPCをベースとしており,従来型のようにテレビ会議システムを用いていない.このことから,グローバルIPアドレスが不要となる他,専門的な映像・音声機器も必要とせず,これらを利用する専門的な知識も不要となる.すなわち,本システムは直接的にも間接的にも物的・人的コストを削減することに成功していると言える.
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