研究概要 |
ネットワーク演習環境提供システムLiNeSを教育現場へ導入するために,LiNeSの各演習機能の補完,専用の教育コースの構築,および授業支援機能の開発を行う.具体的には,次の7点について研究する:1)OSインストール演習機能の開発,2)仮想ネットワーク間接続機能の高度化,3)大規模仮想ネットワーク管理機能の開発,4)大規模ネットワークトラブルシューティング演習機能の開発,5)教育コースの構築,6)有効性の予備的評価,7)答案評価機能の開発. 昨年度までに1)~3)の実現技術について研究した.本年度は,その成果を教育システムとして実現することで1)~3)を完了し評価実験を行った.その後,5),6),7)に着手した.また,ネットワークセキュリティ演習を題材とした研究課題が見つかったため,4)に代わって研究を進めた. 1)~3)の成果として,インターネット上のPCに分散配置した仮想マシンにより,演習用の仮想マシンネットワークを提供できるシステムを開発した.学習者は遠隔地(たとえば自宅)から演習に簡単に参加できるようになる.すなわち,ネットワーク管理演習用e-learningシステムとしての適用範囲を広げることができたことになる.4)の代替としてのネットワークセキュリティ演習システムでは,仮想クラッカーの存在する仮想マシンネットワークを学習者に一定期間継続して提供するシステムを構築した.仮想クラッカーの開発により,演習すべき内容を安定的にかつリアルに学習者に提供することが可能となった.7)においては,仮想マシンネットワークの正解状態を記述する言語を設計し,学習者の仮想マシンネットワークの状態の取得結果とマッチングする評価式を構築している.これにより学習者のネットワークを即座に自動的に採点可能となることや,ネットワークの誤り箇所を指摘することができるため,個々の学習者のペースでの演習を可能にする.
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