研究概要 |
本研究課題では,ネットワーク演習環境提供システムLiNeSを教育現場へ導入するために,LiNeSの各演習機能の補完,専用の教育コースの構築,および授業支援機能の開発を行う.具体的には,次の7点について研究する:1)OSインストール演習機能の開発,2)仮想ネットワーク間接続機能の高度化,3)大規模仮想ネットワーク管理機能の開発,4)大規模ネットワークトラブルシューティング演習機能の開発,5)教育コースの構築,6)有効性の予備的評価,7)答案評価機能の開発. 昨年度までに1)~3)が完了し,国際会議論文と原著論文にて成果を公表している.また,昨年度の報告にあるように4)に代わってネットワークセキュリティ演習を題材とした研究を進めた.プロトタイプシステムを構築し,評価実験を行い国際会議にて発表した.また,この研究の成果として2011年3月に電子情報通信学会ET研究会にて発表していた論文が研究専門委員会推薦論文となり(2012年3月通達),同学会論文誌への投稿を準備している.5)に関しては演習教材を開発し,筆者所属の研究室新規配属生に対して模擬演習を実施し,フィードバックに基づき改良している.7)はIPネットワーク構築を対象とした演習課題に対して動作するシステムを開発できた.5),6),7)により2012年度の新規配属生に対する模擬演習での評価を実施し,国際会議への投稿を準備している.また,7)の別の機能として学習者のネットワーク操作履歴を用いて答案評価するために,演習履歴を収集する機能を開発し,国内の学会にて発表した.この機能により収集した履歴により,最終成果物(答案)だけでなくその過程を評価可能になり,カンニングや偶然により正答した学生を検出することが可能となる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実施に当たって,当初の申請内容には存在しないが,研究課題を広く捉えた場合に重要と考えられる課題が発見されたため,そちらを優先して取り組んだため.また,システム評価実験を研究室新規配属生に対して実施することとなったため,年度末の予定であったものが次年度始めに遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
やや遅れている原因の一つである新規課題の完了目処が立ったため,当初の課題の研究に着手可能と思われる.また,システム評価実験による遅れについては,システムの完成度を上げることで授業にて使用可能にし,受講生に評価をしてもらえるようにする.
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