申請者らは,仮想マシンソフトウェアUser-mode Linux(以下UML)の活用により,大学におけるネットワーク管理者育成環境の強化を視野に入れ,仮想ネットワークに基づく新しい形のネットワーク実習環境を提供するためのシステムLiNeS(Linux Network Simulator)を開発してきた.LiNeSは手軽に利用できることを主眼に置き,一般的なPC演習室の設備で利用可能である. 本研究課題では,ネットワーク演習環境提供システムLiNeSを教育現場へ導入するために,LiNeSの各演習機能の補完,専用の教育コースの構築,および授業支援機能の開発を行う.今年度においては,昨年度に開発したネットワークセキュリティ演習のためのプロトタイプシステムに対する教材を開発し,授業にて試用して評価実験を行った.評価結果を掲載した論文が電子情報通信学会論文誌Dにて採録された. 演習中において教師による学習者のネットワークのデバッグや進捗把握には,学習者の端末を教師が専有したり,学習者の行動を常時監視したりしなければならないため,これは学習者の演習の阻害や人員的な無理を生じさせる.この問題を解決するために答案評価のために学習者のネットワーク操作の履歴をネットワーク経由で収集・蓄積し,それを正解の操作と比較してグラフ表示する機能を開発した.この成果を担当の学生が学会にて発表した.
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