研究概要 |
本研究は学習者から生体情報と学習履歴を利用して学習状態を解析し,リアルタイムに教師に提示することで,教師の教材改善に役立てることを目的としている.今年度は教材改善,学習履歴の利用をキーワードに2つの実験を行った.具体的な内容は以下の通りである. 1.教師の視線情報を用いた重要箇所の検出とその表示 教材収録スタジオにおいて教師ビデオと講義スライドを同期させるコンテンツを作成した.教師は講義スライドを中心に説明しながら講義を進める.今年度は講義中の教師に視線検出器であるナック社製EMR-8を取り付け講義中の視線情報を抽出した.昨年度提案した手法を用いてこの視線情報を解析することで,講義の重要箇所を検出し,その重要箇所を講義スライド中に強調表示することで,学習者の理解を促進する教材コンテンツを自動生成した.つまり,教材スライドに教師の目線を表示し,重要箇所にはマーカーを付与することで,講義後の復習の際,学習者は効率よく講義を聴講することができる.学生を被験者とした評価実験によりその有効性を確認した. 2.学習者の理解度と講義ビデオ(講義中の教師映像,学生映像)の同期表示による教材改善 講義中,学習者に携帯情報端末を配布し,教材の閲覧,理解度ボタンとコメントの送信を促した.また,講義中の「教師の映像」と「講義スライド」,「講義を聴いている学生の様子」を撮影し,上記の「理解度とコメントを集計したPC画面」をキャプチャすることで,4つの映像を1つの映像に合成した.講義後,この映像を教師にチェックさせることで,教師は自身の講義の説明の様子やそのスライドを観察すると共に,学生の聴講している様子や理解度・質問などを同時に確認できるため,教授方法の改善および教材の修正に役立てることができる.3科目に対し上記の映像を作成した.
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