研究概要 |
本研究は学習者から生体情報と学習履歴を利用して学習状態を解析し,リアルタイムに教師に提示することで,教師の教材改善に役立てることを目的としている.本年度は学習に適した教材を推定するための学習モデルを構築するために,学習者の学習スタイルについて調査と実験を行った.即ち,学習者の好みと教材および講義の種類との相関を計るものである.具体的には,大学と工業高等専門学校を連携するe-learningによる単位互換教育プロジェクトeHELP (e-Learning for Higher Education Linkage Project)において,受講者の学習スタイルに関する調査結果をもとに,各学習者の学習スタイルの好みを統計的手法により推定し,学習者に適した学習方法および学習教材を提供する推薦システムのプロトタイプを開発することを目的とする. (1)遠隔授業におけるアンケート調査 学習者に対してアンケート調査を実施した.アンケートの内容は,学習に関わる学習,理解,質問,課題など18観点から学習スタイルを問う質問で構成され,その数は33問である.加えて,受講したe-learning科目の理解度,満足度などに関する10個の項目が含まれており,これらの質問事項を統合して分析した結果を「授業適合度」と見なす. (2)授業適合度の分析 アンケート結果をもとに,重回帰式を用いて,,授業開始時の学習の好みから授業終了時の授業適合度の推定を試みた.一部の受講者のアンゲート結果より算出した重回帰式による授業適合度と,その他の受講者より実測した授業適合度には相関があることが明らかとなった.このことより,受講開始時の学習好みより,科目に対する授業適合度をある程度推定できると言える.
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