研究概要 |
知的書評合戦「ビブリオバトル」のコミュニケーション方式を「場の設計論」として応用したFDワークショップである「FDのためのコースバトル」を設計し,学内で実践した.FDのためのコースバトルとは,教員と学生の教育に関するコミュニケーションの場にゲーム性を導入し,「人を通じて授業を知る」・「授業を通じて人を知る」ことを目的とした新しい対話場の設計手法である.本研究ではまず,FDのためのコースバトルの手順を,1)「自分が魅力に感じる教員の授業」を探してきて集まる(4,5名程度が登壇する),2)順番に一人10分で独自の表現方法により,その授業の魅力をプレゼンする(各プレゼン後に5分の全体議論の時間を設ける),3)「どの授業が最も魅力に感じたか?」で投票を行い,登壇者とオーディエンス全員で「チャンプ授業」を決定する(その後全員が投票理由を説明する)という3ステップで構成した.そして,このFDのためのコースバトルを学内の教員,学生を対象に連続的に実施した.その結果,本FD方式により,教員間,教員,学生間における授業に関する「知識」(効果的な教授法や教育内容)の共有,および,「授業観」(授業に関する価値観や授業への価値づけ)の相互理解が促進されることが分かった.そして,このような授業紹介を競技とした教員,学生の対話による新しいFD方式の実証的成果を,日本協同教育学会や国際プロジェクト・プログラムマネジメント学会などで発表した.さらに,本FD方式の理論と方法をまとめ,FDのためのビデオ教材「FDのためのコースバトル-理論と方法-」を開発し,本FD方法論の普及,拡大を図った.
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