本研究は、多様な職業や職種についての理解の促進を目的としたキャリア教育(職業理解教育)を、中学生、および大学生を対象として実施し、今後のキャリア教育に向けてのモデル構築を行うことが目的である。本実践研究では、仕事に就いている社会人を「社会人メンター」(仕事についての助言者)と位置づけ、インターネット上の交流システム(SNS=Social Network Service)を用いることで、生徒・大学生らと質疑応答を基本とした交流を図れるようにした点に特徴がある。 本年度は、埼玉県内の中学校と大分県内の大学、および社会人とを結ぶSNSを構築し、授業実践の中で活用した。SNSのシステム拡張にあたっては、カメラ付き携帯電話や簡易型ビデオカメラを用いて対象者が撮影した動画を容易に共有できるようにした。また、PCからだけでなく、携帯電話からもシステムにアクセスができるように拡張し、より多様な利用者が参加できるようにした。 授業実践は、中学校では総合的な学習の時間の枠組み活用する一方で、大学では「キャリアデザイン入門」などの授業を開講し、社会人と質疑応答を通して学習できるようにした。本年度の授業実践の評価は、現在、質問紙調査やインタビュー調査の結果を整理している最中だが、自分自身の職業への興味関心の深化や、多様化が図られていることを確認することができた。 本授業の成果の一部は、ファカルティディベロップメント(FD)の一例として学会等で報告した。 また、昨年度までの成果について学術論文として整理し、査読付き論文として採録された。
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